薄板特殊絞り事例

幾多のノウハウの蓄積と改良の末に実現した0.1mmのステンレス深絞り

板厚0.1mmのステンレスの1工程のみでこのような角形状に絞るというのは、通常0.4mmから6.0mmの鋼板を使用し、成形をすることが多い当社にとって初めての、また大きなチャレンジでした。

金型は温間成形技術を応用するとともに様々な条件を0.1mmの深絞り用に工夫し、試行錯誤を繰り返しました。冷間プレスではサーボプレスの特殊モーションを駆使しても15mmから20mm程度の深さが限度でしたが、そこに温間成形の技術を取り入れることで45mmの深絞りが可能となりました。

温間成形の効果は材質、形状により異なりますが、これほどまでにその効果を確認できた事例は初めてでした。今後、難加工とされる材質、形状にも応用できるものと考えています。幾多のノウハウの蓄積と改良の末に実現したこのサンプルは、高度な技術を持つ金型メーカーと、高品質な鋼板を製造する材料メーカーがタッグを組んだことにより成功を収めることができました。

比較的小さいサイズの金型製作とメンテナンスは社内で行うことができますが、特殊絞り、大型温間成形、厚板、超薄板などの特殊加工の際に必要となる金型は、信用と実績のある金型メーカーに製作を依頼しています。 多くの金型メーカー、材料メーカーが存在する中で、その中でも高い技術とノウハウを豊富に持っている、トップクラスのメーカーとタッグを組むことができるかが、プレス加工部品の成否の鍵を握ります。

高硬度ステンレス絞り

厚みのある硬い鋼材の深絞りが大幅なコストダウンを実現

薄板特殊絞りとは対照的に、こちらは厚みのある鋼板成形品の事例です。絞り加工には適さないとされている、SUS440Cというステンレスの中でも最も硬い鋼材の深絞りです。SUS440Cはノズル、ベアリング等の部品に使用されることが多く、主な加工方法は切削加工ですが、切削加工からプレス加工へと工法の転換を図り、コストダウンと量産化を目的とする海外のお客様からの提案がトライのきっかけでした。
 
「そもそもSUS440Cという鋼材を絞ることが可能なのか?」というところからのスタートであった為、まず最初に絞り性のテストを行いました。簡易型を作成し、テストを行った結果、絞り部の外径=200mm パンチR=8R 深さ=35mmまでを加工することに成功しました。次に、更に小さいパンチR=4Rを再現する為に成形型を作成し、R部を再度加工したところ、お客様の図面要求通りの形状を再現することができました。
 
この事例の成功で今後の深絞りに大きく明るい未来を感じました。 今まで切削加工で部品を製作していたものが、プレス加工によって成形可能となれば、大幅なコストダウンを実現することができます。 勿論プレス加工では、切削加工のような高精度を求めることはできませんが、部品の用途によっては公差拡張の条件付きでの提案も可能となります。

複雑形状の深絞り

お客様のご満足のため、板金加工から一体型のプレス加工へ

多くの金型を必要とするプレス加工から、金型を必要としない板金加工へと工法の転換が進む中、複雑な形状でありながら量産を望まれるものに関しては、やはり金型を使用した深絞り加工が最適です。

こちらでは製菓関連製品の成形事例をご紹介します。

幾多のコーナーRが溶接(接合部)なしで規則的に並ぶ形状ですが、シワや歪み等の発生がなく、ダイクッション圧、クリアランスの調整により安定した品質を得ることが可能です。溶接を行わない製品のメリットとしては、接合部が無い為、細菌等が隙間に混入するリスクを限りなく抑えることができます。 その為、食品関連/医療関連のお客様より「板金加工で行っていたものをプレス化できないか」とのお話を頂く機会も多くなりました。

切る、貼るという工法では得られないクオリティを実現し、お客様にはご満足して頂く為、板金加工から一体のプレス加工へ、価格競争とは別の角度から提案をさせて頂いております。

CFRTPの深絞り

試行錯誤が可能にした複雑形状の
CFRTP(炭素連続繊維強化可塑性プレスチック)成形

これまでに紹介した薄板の深絞り、複雑形状の深絞りのノウハウを駆使し、それらをCFRTP(炭素連続繊維強化可塑性プレスチック)の成形に応用した事例です。
こちらは、市販されているプリプレグシートを使用するのではなく、社内にて材料を製作してから3D成形を行っています。
未だ量産化には至ってはおりませんが、多くのお問い合わせを頂き、日々トライを行っています。 金属のようにハイサイクル加工を実現するにはまだ長い時間がかかることが想定されますが、鉄よりも軽く鉄よりも強い新材料が近い将来、大きな産業の柱になるのではないかと考えております。

この素材は、熱可塑性という名前の通り、熱を加えることで軟化し、成形を行うことができます。冷間ではなく金型にヒーターを組み込み、温度制御を行う温間成形と同じ原理です。
樹脂/繊維の流動を考慮した金型クリアランスや、離型性、熱膨張等を考慮して型材の選定を行います。
そして、材料となるプリプレグシートは、市販されているものでなく自社で繊維と樹脂の含浸成形を行い製作しています。
これにより、一連の研究のコストダウンのみならず、材料の特性から起きる問題や3D成形の際に発生する問題を比較的早い段階から把握できるというメリットも得られました。
また、連続繊維をプレス成形することで、どのように繊維は流れるのか、どの条件で樹脂は流れるのか等のデータ収集の為、社内にて金型を複数製作し、繰り返しテストを行ってきました。

写真のように、1つの成形品の中に絞り/曲げ/リブ/テーパー等の様々な加工が組み込まれている金型でのテストで、曲げ角度やクリアランス、金型の昇温方法に至るまでの課題やそれに対する解決策が見えてきます。
更に、CFRTPの成形に使用する金型は社内にて、設計を含む全ての製作を行っております。
何故なら金属の成形と違い、全国的に見ても成功事例が少なく、自分達で試行錯誤を繰り返しながら金型を改良し、ノウハウを蓄積するしか方法がなかったからです。

スタートしてから3年が経過した現在では、徐々に蓄積されたデータが新規に製作する金型に反映され、スムーズに企画から成形までを行えるようになりました。
今後も、より多く複雑形状の成形に挑戦し、実績を積み重ねて行こうと考えております。

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試作から量産までの一貫体制で、高品質・低コストの製品づくりにお応えいたします。
昭和37年の創業以来、新潟県燕市を拠点にプレス業一筋で歩んでまいりました。
現在は新たに、溶接、パイプベンダーを取り入れ、県内はもちろん、県外の諸企業様からの
幅広い分野にわたる受注を頂いております。
長年培ってきた実績を存分に生かし、お客様にご満足頂ける確かなものづくりをお約束いたします。

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